日記 子供たちへ
カンヌ国際映画祭 グランプリ
1980-83年/ハンガリー/1h48/4Kレストア
監督・脚本:メーサーロシュ・マールタ
出演:ツィンコーツィ・ジュジャ、ヤン・ノヴィツキ
1947年、ソ連からハンガリーへ帰国したユリは、共産党員の養母マグダの保護下で育つ。父は秘密警察に捕らわれ、母はこの世を去っていた。恐怖政治が布かれるこの国で、ユリは不安定な生活を強いられる。ある日、ユリはヤーノシュと名乗る男と出会う。彼は父と瓜二つの人物だった。
「日記」三部作の第一部。冷戦下の自身の苦難を描き、1984年のカンヌで審査員グランプリを受賞。撮影は義理の息子ヤンチョー・ニカが担当した。
3/28(土)、4/8(水) 17:50〜(終19:43)
3/31(火)、4/5(日) 20:00 〜(終21:53)
日記 愛する人たちへ
ベルリン国際映画祭 銀熊賞
1987年/ハンガリー/2h12/2Kレストア
監督・脚本:メーサーロシュ・マールタ
脚本:パタキ・エーヴァ
出演:ツィンコーツィ・ジュジャ、ヤン・ノヴィツキ
マグダの元を離れ映画監督を志すユリは、モスクワの大学で映画制作を学ぶ。スターリンの死後、ユリは労働者の実情を捉えたドキュメンタリー映画を完成させる。そしてユリは父がすでに死去したことを知らされる。
「日記」三部作の第二部で1987年のベルリンで銀熊賞を受賞。モスクワ留学から1956年のハンガリー事件までを描く。ユリが父と瓜二つの男に抱く愛情は複雑になり、ふたりの関係は次第にメロドラマ性を帯び始めていく。
3/28(土) 19:55〜(終22:12)
4/1(水)、9(木)17:50 〜(終20:07)
4/6(月) 19:35〜(終21:52)
日記 父と母へ
1990年/ハンガリー/1h57/2Kレストア
監督・脚本:メーサーロシュ・マールタ
脚本:パタキ・エーヴァ
出演:ツィンコーツィ・ジュジャ、ヤン・ノヴィツキ
1956年、ブダペシュトで民衆が蜂起する。モスクワからハンガリーへ帰国したユリはカメラを手に、荒廃した街並みや犠牲者を見つめていく。その年の大晦日、ユリたちは久々に一堂に会する。政治的立場が異なる者たちも、束の間、仮装や音楽、ダンスに耽る。しかし反動分子の弾圧はとどまるところを知らず……。
「日記」三部作の最終作。1956年のハンガリー事件の勃発から民主化運動の挫折までをつぶさに描き、戦争の余波と闘いの行方を問う。
3/29(日)、4/10(金) 17:50〜(終19:52)
4/1(水)20:20 〜(終22:22)
4/7(火)19:35 〜(終21:37)
エルジ
1968年/ハンガリー/1h24
監督・脚本:メーサーロシュ・マールタ
出演:コヴァーチュ・カティ
児童養護施設で育ったエルジは、24年ぶりに小村で暮らす実の母を訪ねる。再婚していた母は、娘の来訪に戸惑い、彼女を姪と偽って新しい家族に引き合わせた。家族関係の修復も曖昧なまま街へ戻ったエルジは、行きずりの男と交際しながら、鬱々と日々を過ごす。ある日、素性の知れぬ中年男性がエルジの前に現れ、「君の両親は死んだ」と告げる。
長編デビュー作であり、のちに繰り返し描かれる“養子”をテーマとした自伝的作品。
3/29(日) 20:05〜(終21:34)
4/2(木) 17:50 〜(終19:19)
月が沈むとき
1968年/ハンガリー/1h26/2Kレストア
監督・脚本:メーサーロシュ・マールタ
出演:トゥルーチク・マリ、コヴァーチュ・カティ
政治家の夫に先立たれたエディトは、保険金や邸宅の相続を頑なに拒む。父の名声が汚されることを恐れた息子は、母エディトを別荘に軟禁した。息子の婚約者も「看守」として手を貸すが、壊れていくエディトを見るうち、結婚という結び付きに違和感を募らせていく。
原題のHoldudvarは「月の暈(かさ)」の意味で、転じて権力者に付き従う者を指す。「家」に囚われた女性の苦しみと、彼女に寄り添う女性の交流が描かれたシスターフッド映画。
3/30(月)、4/4(土) 17:50〜(終19:21)
4/2(木) 19:30〜(終21:01)
リダンス
1973年/ハンガリー/1h21/4Kレストア/PG12
監督・脚本:メーサーロシュ・マールタ
出演:クートヴェルジ・エルジェーベトゥ
工場勤務のユトゥカは、大学生のアンドラーシュと恋に落ちるが、拒絶されることを恐れ、学生のふりをして名前も偽る。やがてアンドラーシュは真実を知るも、両親には告げられない。両家の食事会でアンドラーシュ家の階級意識が剥き出しになっていく。
アニエス・ヴァルダがシャワーシーンに強く魅了されたという、労働者階級とインテリの格差を背景に女性の選択を描く静かな力作。撮影はトルナトーレ作品で知られるコルタイ・ラヨシュ。
3/30(月)、4/4(土) 19:35〜(終21:01)
4/3(金) 17:50 〜(終19:16)
ジャスト・ライク・アット・ホーム
1978年/ハンガリー/1h49/4Kレストア/PG12
監督:メーサーロシュ・マールタ
出演:ヤン・ノヴィツキ、ツィンコーツィ・ジュジャ
アメリカからハンガリーへ帰国したアンドラーシュ。根無し草状態の彼は、放し飼いにされていた犬に惚れ込み、飼い主の少女から強引に買い取る。やがてふたりは、親子とも言い切れぬ親密な関係を育んでいく。彼のかつての恋人アンナも、そんなふたりを気に掛け、彼に愛を告白するが……。
父への献辞で始まる本作は、メーサーロシュにとって非常に個人的な父との物語だといえる。アンナ・カリーナがふたりの関係に揺らぎを与える人物を好演。
3/31(火)、4/5(日) 17:50〜(終19:44)
4/3(金) 19:30 〜(終21:24)
ドント・クライ プリティ・ガールズ!
1970年/ハンガリー/1h29/2K レストア
監督:メーサーロシュ・マールタ
脚本:ズィムレ・ペーテル
撮影監督:ケンデ・ヤーノシュ
出演アーティスト:Metro、Illés、Kex、Sziriusz、Tolcsvay Trió ほか
出演:ヤロスラヴァ・シャレロヴァー、ザラ・マールク、バラージョヴィチ・ラヨシュ
ビート・ミュージックのファンである若者たちは、うだつの上がらない日々を工場での労働に費やしている。ユリは不良青年のうちのひとりと婚約しているのだが、とあるミュージシャンと恋に落ちた。ギグを開くという彼とともに、ユリは小旅行へ出かける。しかし嫉妬深い婚約者と彼の不良仲間たちは執拗にふたりを追いかけ……。溢れんばかりのビート・ミュージックとともに、当時の息詰まるような社会の閉塞性がたしかに刻印された、珠玉の音楽逃避行劇。
4/6(月) 17:50〜(終19:24)
アダプション/ある母と娘の記録
ベルリン国際映画祭 金熊賞 OCIC特別賞
1975年/ハンガリー/1h28/4K レストア/PG12
監督・脚本:メーサーロシュ・マールタ
脚本:ヘルナーディ・ジュラ、グルンワルスキ・フェレンツ
撮影監督:コルタイ・ラヨシュ
出演:ベレク・カティ、ヴィーグ・ジェンジェヴェール、フリード・ペーテル、サボー・ラースロー
43歳のカタは工場勤務の未亡人。彼女は既婚者と不倫関係にある。カタは子どもが欲しいのだが、愛人は一向に聞き入れない。とある日カタは、寄宿学校で生活するアンナと出会い、彼女の面倒を見ることにした。次第にふたりは奇妙な友情を育んでいく。メーサーロシュの名を一躍世界に知らしめた記念すべき作品。家父長制すら歯牙にもかけぬ主人公たちの親密さを、決して見逃してはならない。
4/7(火) 17:50〜(終19:23)
ナイン・マンス
カンヌ国際映画祭 国際映画批評家連盟(FIPRESCI)賞
ベルリン国際映画祭 OCIC特別賞
1976年/ハンガリー/1h34/4K レストア/R15+
監督:メーサーロシュ・マールタ
脚本:ヘルナーディ・ジュラ、コーローディ・イルディコー
撮影監督:ケンデ・ヤーノシュ
出演:モノリ・リリ、ヤン・ノヴィツキ
ユリは工場勤務の傍ら、農学を学んでいる。工場の上司は彼女と恋に落ちる。ユリは彼に誠実な関係を望むいっぽう、前パートナーとの間に子どもがいる事実を隠している。やがて彼女の秘密は明らかになるのだが、上司は子どもの存在を受け入れるだけの心の準備ができておらず……。ドキュメンタリー作家としてキャリアをスタートさせたメーサーロシュが、作為性や修飾を極限にまで削ぎ落した「真実」の記録。
4/8(水) 19:55〜(終21:34)
マリとユリ
1977年/ハンガリー/1h38/4K レストア
監督:メーサーロシュ・マールタ
脚本:コーローディ・イルディコー、バラージュ・ヨージェフ
撮影監督:ケンデ・ヤーノシュ
出演:マリナ・ヴラディ、モノリ・リリ、ヤン・ノヴィツキ
マリの夫は偏狭な男で、ユリの夫はアルコールに依存している。彼女たちはつらい夫婦生活を乗り越え、慰めを求めあう。互いの葛藤を知ったふたりは、それぞれの人生を歩むべく、ある決断をする。結婚生活に絡めとられる二人の女性の連帯を、厳しくも誠実なまなざしで捉えた精緻な秀作。
4/9(木) 20:20 〜(終22:03)
ふたりの女、ひとつの宿命
1980年/ハンガリー、フランス/1h45/4K レストア
監督・脚本:メーサーロシュ・マールタ
脚本:コーローディ・イルディコー
撮影監督:ラガーイ・エレメール
出演:イザベル・ユペール、モノリ・リリ、ヤン・ノヴィツキ、ペルツェル・ズィタ、サボー・シャーンドル
1936年。ユダヤ人のイレーンは、裕福な友人・スィルヴィアからある相談を持ち掛けられる。スィルヴィアは不妊に悩んでおり、イレーンに自身の夫との間で子どもをつくってほしいと言う。そうして生まれた子どもに莫大な財産の相続が約束されたのだが、彼らの関係は悪化の一途をたどる。その頃世界ではファシズムが台頭し……。幅広い文化圏の映画監督と協業を続けるイザベル・ユペールは、その最初期の重要な出演作として本作を挙げている。この後メーサーロシュは「日記」四部作に代表される歴史映画を手掛けていくが、その契機としても見落とすことができない意欲作。
4/10(金) 20:05 〜(終21:55)