下高井戸シネマ


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現代ドイツでもっとも先鋭的な才能
アンゲラ・シャーネレク監督特集

微細な光と風を捉える撮影、カミソリのように鋭く関係性を捉える観察眼、古典と現代の大胆な交差。
現代映画の第一人者シャーネレクに出会うための3本を特別上映。

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第36回東京国際映画祭でアンゲラ・シャーネレクの新作『ミュージック』が上映された。これまで日本では自主的な特集上映が行われただけで、大掛かりな映画祭の場で彼女の作品が見られるのは初めての機会だ。知られざる映画作家シャーネレクだが、すでに長編映画だけでも10本発表している。カンヌやベルリンなどの国際映画祭では確立した名声を得て、いまや現代映画を代表する監督の一人といってよい。そんな彼女の独特の映画世界を改めて紹介する特集上映が下高井戸シネマで実現した。初期の代表作『マルセイユ』と近年の珠玉の作品『儚き道』と『家にはいたけれど』には、シャーネレク独特のミニマルな映像・音声の技法と、フランスのニューシネマの影響から自身のスタイルの確立へと至る系譜が鮮やかに浮かび上がる。今回の特集がさらなるシャーネレク映画との邂逅につながることを切に願う。(渋谷哲也)
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『家にはいたけれど』
『儚き道』
『マルセイユ』

12/16(土)~12/22(金) 20:15〜 日替り上映
★期間中上映後、トークあり!
12/16(土)渋谷哲也さん(日本大学文理学部教授、ドイツ映画研究者)
12/17(日)清原惟さん (映画監督・映像作家)、rikoさん (『NASTY FILM』発行人)
12/18(月)渋谷哲也さん
12/22(金)結城秀勇さん(映画批評・編集者)、渋谷哲也さん



《特別料金》
『家にはいたけれど』『マルセイユ』1500円均一
『儚き道』1000円均一
※サービスデー対象外、招待券使用不可、各種割引なし


アンゲラ・シャーネレク Angela Schanelec
1962年、バーデン=ヴュルテンベルク州アーレンに生まれる。1982年から1984年にフランクフルトで演技を学び、その後1991年までドイツ各地の劇場の舞台に立つ。1990年から5年間ベルリンのドイツ映画テレビアカデミーに学び、1995年から独立映画監督として活動を始める。2012年から現在までハンブルク造形大学の教授を務める。
ベルリンのアカデミー時代から短編映画を発表し、1998年の長編『都会の場所』はカンヌ国際映画祭「ある視点」部門で上映された。『マルセイユ』(2004年)はドイツ映画批評家賞脚本賞、『昼下がり』(2007年)はアルバ国際映画祭監督賞、『家にはいたけれど』(2019年)はベルリン国際映画祭で銀熊賞(監督賞)、同映画祭で最新作『ミュージック』(2023年)が再び銀熊賞(脚本賞)をそれぞれ受賞した。ゴダールやブレッソンを想起させる省略の多い映像とミニマルな物語手法を特徴とする。

家にはいたけれど
Ich war zuhause, aber…

2019年ベルリン国際映画祭 銀熊賞(監督賞)受賞
2019年/セルビア、ドイツ/1h45
脚本・監督:アンゲラ・シャーネレク
撮影:イヴァン・マルコヴィッチ
出演:マーレン・エッガート、ヤーコプ・ラサール、クララ・メラー、フランツ・ロゴフスキ

ベルリン在住の女優アストリッドは2人の子どものシングルマザーである。彼女には年下の恋人がいる。ある日、13歳のフィリップが失踪し1週間後に戻って来たが、その経緯を何も語らない。彼女も学校もどう対処していいか分からず途方に暮れる。妹だけが兄に優しく寄り添う。映画はこの事件と並行して、生徒たちが教室で演じる『ハムレット』の場面を見せてゆく。

12/16(土)・19(火)・22(金) 20:15〜(終22:05)
★上映後、トークあり!
12/16(土)渋谷哲也さん(日本大学文理学部教授、ドイツ映画研究者)
12/22(金)結城秀勇さん(映画批評・編集者)、渋谷哲也さん


© filmgalerie-451
はかな き道
Der traumhafte Weg

2016年/ドイツ/1h26
脚本・監督・編集:アンゲラ・シャーネレク
撮影:ラインホルト・フォアシュナイダー
出演:ミリアム・ヤーコプ、トアビョルン・ビョルンソン、マーレン・エッガート、フィル・ヘイズ

1984年、一組の男女が山道を進む。ギリシャの変化を見つめ、やがて二人は別れる。男は英国の母が事故で重篤となったことを知り、父と共に重大な決断をする。そして舞台は30年後のベルリンに移動。学者と女優の夫婦が離婚の局面を迎えて静かに対峙する。冒頭の男女がベルリンの路上で再会する。人生はまるで夢のようにはかなく過ぎつつ、とりかえしのつかない時間を刻んでゆく。

12/17(日)・21(木) 20:15〜(終21:46)
★上映後、トークあり!
12/17(日)清原惟さん (映画監督・映像作家)、rikoさん (『NASTY FILM』発行人)

マルセイユ
Marseille

2004年ドイツ映画批評家賞脚本賞 受賞
2004年/フランス、ドイツ/1h35
脚本・監督:アンゲラ・シャーネレク
撮影:ラインホルト・フォアシュナイダー
出演:マーレン・エッガート、マリー=ルー・ゼレム、ルイス・シャーネレク、デヴィット・シュトリーゾフ

ベルリンの写真家ゾフィーは部屋交換の広告を見て、つかの間マルセイユに滞在し街並みを撮影する。やがて舞台は唐突にベルリンに移り、ゾフィーの写真の仕事を捉える。すると急に女優ハンナが主人公となり、彼女と息子の関係や恋人との葛藤など日常が綴られる。やがて再びゾフィーが主役となり、彼女はもう一度マルセイユを訪れる。二つの都市、二人の女性が交差するユニークな構成のドラマ。

12/18(月)・20(水) 20:15〜(終21:55)
★上映後、トークあり!
12/18(月)渋谷哲也さん(日本大学文理学部教授、ドイツ映画研究者)

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